連載第2回 違いがわかる有名銘柄飲み比べ

⻲の井酒造の人気銘柄、香り豊か、濃醇甘口で個性を放つ「くどき上手」13 種を飲み比べてみた

更新日2021.09.17

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山形県鶴岡市で明治8年に創業した亀の井酒造。 長く「亀の井」の普通酒銘柄で地元で親しまれてきたが、1980年代になり5代目蔵元・今井俊治氏が磨いた米のおいしさを味わう吟醸酒作りに挑戦。

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インパクトのあるネーミング、浮世絵のラベルで一斉を風靡し、今も挑戦を続けている。特徴はなんといっても磨いた米ならではの雑味のないきれいな甘み。また、「くどき上手」のイメージを覆す超辛口吟醸酒「ばくれん」シリーズも続々登場。酒米や磨きによる吟醸香、甘みの違いを飲み比べてみた。

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目次

1. くどき上手 斗瓶囲大吟醸 命

グラスに注ぐと、吟醸香がダイナミックにあがってくる。おいしい甘味だけを抽出したような美しい味わい。蔵元兼杜氏の今井氏がまさに”命”を削るように全身全霊を傾け醸した最高傑作らしく、香り、味わいなどすべてに「くどき上手」の特徴が出ている。お酒だけで十分に楽しめるが、オレンジシフォンケーキ、クレープシュゼットなどやわらかな食感のデザートと合わせるのも面白い。

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2. くどき上手 Jr Black Beauty

「斗瓶囲大吟醸 命」に非常に似ていて、吟醸香が勢いよく上がってくる。甘みたっぷりの現代的な吟醸酒だが、口あたりはさらっとしていてフレッシュ感があるので、冷やして飲むのがおすすめ。サワークリームとキャビア、塩いくら、脂ののった魚の塩焼きなど脂質と塩の効いたものと相性が良い。

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3. くどき上手 大吟醸 澱がらみ

澱がらみだけあって甘みに頼らず、白玉粉のような米の風味がよく出ている。ふっくらとして親しみやすい印象があり、サワラの西京焼き、ぶり大根、鮭ときのこのソテーなど秋から冬の居酒屋メニューにぴったり。夏なら、ヴィシソワーズ、とうもろこしのかき揚、焼き空豆、長芋など白っぽい野菜類と相性良し。

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4. くどき上手 純米大吟醸 亀仙人 生詰

はちみつのような香りと、ドライプルーンをかじったときのような甘酸っぱさがある。重過ぎず、おだやかな飲み心地。冷やしてワイングラスでも良し、少し温めて盃で飲んでも楽しめる。プチトマトの豚バラ巻き、味噌を塗った焼きおにぎり、煮玉子などしっかり味のある料理と合わせたい。

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5. スーパーくどき上手 純米大吟醸

和三盆のようなさらっとした甘み、それでいてまろやかな味わいが持ち味。香りもおだやか。辛味と甘味を楽しむ新玉ねぎのサラダなどと合わせるとドレッシング的な楽しみ方ができる。あるいは食後に甘酒アイスにかけても◎。

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6. くどき上手 純米大吟醸 Jr.摩訶不思議ちゃん

うっすらとパパイヤやマンゴーのような香りやレモンバームのような爽やかなハーブの香りなど、ややはっちゃけた感がある”摩訶不思議”なバランスが楽しい。海老の生春巻き、タコス、ソムタムなどメキシコや東南アジア料理のような色々な味の要素が入っている陽気なお料理に合わせて。屋外でのパーティーなど楽しいシーンに◎。

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7. くどき上手 純米大吟醸 出羽燦々33

生酒の熟成した香り。飲むと濃縮された黒糖のような甘みのある麹のコクが追いかけてくる。海鮮ユッケなど濃い味の韓国料理に合わると面白い。料理に少し柑橘を絞るなど、酸味をプラスするとより楽しめる。生酒の生々しい感じは卵と、甘味は鰻と相性がいいので、うまきにもぜひ。

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8. くどき上手 純米大吟醸 しぼりたて生

米粉のような香り、和菓子のような甘み。この甘みの質がかなり上質で雑味のない研ぎ澄まされたきれいな甘みを感じる。お酒だけでも楽しめるが、わらび餅&きなこと合わせても。塩昆布をちょっと間に口にするなど甘&塩で楽しむのも◎。

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9. くどき上手 辛口純吟

王道のクラシックな純米吟醸。蒸した米の心地よい香りがほっとする。常温からぬる燗、ちょっと熱くしても楽しめるが、常温だと甘みを強く感じやすいので、冷やすか、お燗がお薦め。旨味を伴った米のおいしさがよく表現できているので、居酒屋などで冷やしてお惣菜と。また、ぬる燗にして赤酢の鮨に。

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10. くどき上手 純米大吟醸 Jr.ジューシー辛口

パッションフルーツのような香りでとろみがある。味わいもジューシーで酸味もあり、商品名と一致する。酸味の量もちょうどよくボディも重くなく軽快な飲み心地でワイン好き向けに計算された味。これからの時代にグラスで飲むべき代表的なものといえる。カジュアルフレンチのペアリングで使って欲しい。

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11. くどき上手 純米吟醸

舌全体に薄く広がっていく甘みを楽しみたい。キリッとよく冷やして輪郭をはっきりさせて飲むのがお薦め。和食のお出汁の効いた煮物や鍋物と一緒なら飲み飽きせず、通しで楽しめる。おでん屋に最適。

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12. くどき上手 純米吟醸 酒未来50%

十四代の高木酒造が開発した酒米、”酒未来”を使用。香りはブドウ系の極めておだやかな香り。雑味がなくやわらかい優しい舌触りで、押しつけがましくないバランスの良い味わい。キレも良いので食事の相性を気にせず、サラッと飲める。鮨屋の素材を活かしたシンプルなつまみ全般。スダチや塩、ポン酢とも合うので鍋物にも。

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13. ばくれん 吟醸 超辛口 赤

「辛口を極める」をコンセプトにしたシリーズの中の定番。日本酒度+20の限界値に挑戦しながらも、甲州やデラウエァなど日本のブドウのようなフルーツのよい香りもする。飲み飽きせず、食中酒としてグイグイいける。辛口好きにお薦め。刺身、冷奴、塩辛、鯛の酒蒸しなど海鮮居酒屋の定番のつまみが似合う。

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まとめ1

五代目今井俊治氏が修業した茨城・明利酒類株式会社の当時の副社⻑・小川知可良氏が開発した酸の少ない小川酵母(協会 10 号)を使い、全体的に酸が少なく、高い吟醸香があるのが何よりの特徴。磨いた米のきれいな甘みだけを残し、酸がなくても重さを感じることなくさらっと飲めるという個性を打ち出している。 魚介全般に合うと言われているが、実際には調理法、味付けで飲み分 け必須。お酒のみで満足するものや食後にデザートともに楽しむと面白いものも多くある。 また六代目俊典氏が手がける Jr シリーズの”ジューシー辛口”や”摩訶不思議ちゃん”などサブタイトルがついているものは、その通りの味わい。 五代目とはまた違う、甘みや酸味の出し方に新しい時代や可能性を感じさてくれ る。 そして、甘口の限界に挑戦している「くどき上手」とはまったく別の超辛口で醸す「ばくれん」も次々に季節酒を販売するなど、話題性を生み出す戦略 にも⻑けているのも⻲の井酒造ならでは。全体的には、シンプルな刺身や焼き魚、煮魚など気取らない居酒屋料理に合うものが多く、ボトルを前に話が弾むという楽しい飲み会のシチュエンーションにこれほど似合う酒はないかもしれない。

テイスティングコメント:多田正樹 文章:藤田実子 写真:JCSC・亀の井酒造 【多田正樹プロフィール】 1969年 島根県松江市生まれ 1990年 都内フランス料理店を中心に接客を担当 2000年 新宿京王プラザホテル ・日本酒バー【天乃川】、和食、懐石料理店舗にて日本酒選定・サービス ・ホテル独自の日本酒開発 2011年 神楽坂【ふしきの】酒番 2014年 神楽坂【月よみ庵】店長兼酒番 2017年  神楽坂【蒼穹】店主 現在 【ブレス合同会社】 『和酒を扱う料理店のご相談係』 『日本酒テイスター』 『佳酒と古陶磁 出張人』として料理人さん、古美術商さんと共に活動中
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