連載第5回 違いがわかる有名銘柄飲み比べ

ユニークなネーミング、個性的でいながら親しみやすい『山本』7種を飲み比べてみた

更新日2021年11月26日

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日本海沿いの港町、八峰町に酒蔵を構える山本酒造店。白神山地に湧き出る天然水を直接酒蔵に引き込み、全ての工程で使用。1901年の創業以来長く『白瀑(しらたき)』という銘柄を作っていたが、15年ほど前に6代目蔵元山本友文氏に代替わりしたのを機に作り始めた新シリーズが『山本』。一気に人気銘柄に押し上げた山本社長は、アメリカ・ミシガン州の大学を卒業後、ロックバンドのマネージメントやコンサート製作を手掛け、国内外を飛び回っていたという異色の経歴の持ち主だ。酒米も自ら栽培し、醸造アルコールを添加しない純米酒のみに特化。当初は精米、搾り、瓶詰めまでの全ての工程を山本氏が手がけていがたが、現在は若いスタッフに実務は任せ、司令塔として酒造りを指揮している。

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色をテーマにしたラベルや、ピュアブラック、ミッドナイトブルー、ストロベリーレッドなどネーミングもキャッチーで親しみやすい『山本』7種を飲み比べてみた。

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1. 山本 純米吟醸 和韻(わいん) オーク樽熟成

レーズンやキャラメル、そしてバターのような濃厚な風味が特徴。コクと深みはあるものの、そこにジューシーな甘酸っぱさが加わり驚くほど爽やか。“和韻”(わいん)とあるように、白ワインにも通じ樽香もあり、チーズや乳製品を使った料理との相性は抜群。また、ローストした肉料理やナッツ類、きのこ料理などにも◎。

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2. 山本 純米吟醸 ターコイズブルー

酒米「改良信交」の特徴である優しい甘さと洋ナシのようなきれいな香りを、滑らかでバランスの良い味わいの中に感じることができる。柑橘系の爽やかな酸味と苦味がすっきりとしたドライな後味を生み出すこのお酒には、イワシなどの青魚のマリネ、ベトナムの生春巻き、タイ風のシーフードサラダやグリーンカレーなどハーブを使った料理に合う。また、ヤギや白カビなどクリーミーチーズとのコントラストも楽しめる。

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3. 山本 山廃純米 木桶仕込み 天杉

樹齢200年を超える天然の秋田杉の木桶で仕込んだ限定酒。穏やかな香りの中に芳醇なスパイスの香りも漂う。口に含むとクリーミーで濃厚な甘みを持つ旨味が口の中にじんわり広がり、さらに深みや複雑さが増してくるが、ジューシーな酸味のバランスが取れていて飲みやすい印象に。しっかりとした味わいがあるので、中華料理の炒め物、ベーコンやハム、鴨肉のロースト、そしてコロッケやトンカツなど揚げ物と相性が良い。また、ゴーダ、コンテなどセミハードタイプのチーズも合う。

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4. 山本 Pure Black ピュアブラック

グレープフルーツやレモンなど軽やかで爽やかな香りの中に蒸したお米のほのかな香りがするのが特徴。ミディアムボディで、旨味と酸味とのバランスが取れたフルーティな味わい。柚子胡椒のようなスパイシーさと苦味で後味をすっきりさせてくれるので、貝類、白身魚のカルパッチョやグリルなどに最適。モッツァレラやヤギなどフレッシュチーズとの相性も抜群。

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5. 山本 Midnight Blue ミッドナイトブルー

トロピカルフルーツやブルーベリーヨーグルトなどの華やかな香り。フルーティな風味が口の中で滑らかに広がる。甘みと旨味のバランスがよく、後味にはレモンの皮のような柑橘系の酸味、苦味が爽やかに優しく舌に残るので、青魚や脂ののった魚との相性が抜群。

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6. 山本 Strawberry Red ストロベリーレッド

青リンゴのような軽やかで爽やかな香り、カボスのような甘酸っぱさと苦味、シャープでドライな後味が特徴。柑橘類の酸味とミネラル感があり、キレが良いので、生の貝類や甲殻類のグリル、白身魚のマリネ、イカをはじめ魚介のフリットなどに合う。よく冷やすと爽やかな味わいが存分に楽しめる。

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7. 山本 純米 ど辛

甘いフルーツ、そして蒸したお米や生クリームなどの柔らかで芳醇な香り。味わいも濃厚ながら、しっかりとした酸味がバランスよく加わり、口の中で旨味が膨らみながらも喉越しは抜群のキレですっきり。五味をバランスよく楽しめる飲みやすい超辛口なので、グリル野菜、魚介類、鶏肉、軽い味付けの肉料理など様々な料理と一緒に楽しむことができる、万能な食中酒。

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まとめ1

音楽、とりわけビートルズを愛している山本氏。リラックスした環境で楽しくハッピーに酒造りをすることで、飲む人も笑顔になるというのがモットー。ラベルのイメージ同様に蔵の中は遊び心満載のデコレーションが散りばめられ、BGMにはビートルズはもちろん蔵人が好きな音楽を工程ごとに1日中流している。 定番の人気商品「山本 ピュアブラック」が象徴するように、ラベルの色、ネーミングと味が一致しているのが特徴。酵母の個性を追求してシンプルにその違いをわかりやすく伝えようとしているところにも好感が持てる。ボトルごとに違いはあるが、どれも親しみやすく誰もが美味しいと感じる絶妙なバランス。香りは控えめでジューシィなフルーツや柑橘系の酸味があり、キレも良いので食事との相性は抜群だ。老若男女、大勢でテーブルを囲み、飲み比べを楽しみながら話を弾ませる……、そんな笑顔あふれる光景が目に浮かぶ酒だ。

テイスティングコメント:ウイルソンライ レベッカ(Rebekah Wilson-Lye) 文章:藤田実子 写真:JCSC・山本酒造店 【ウイルソンライ レベッカ(Rebekah Wilson-Lye) プロフィール】 株式会社 JAPAN CRAFT SAKE COMPANY 海外PR・企画、輸出事業部長 SEC Certified Advanced Sake Professional WSET® Sake Level 3 Educator ニュージーランド出身の日本酒専門家。 2016年からIWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)の日本酒部門の審査員を務め、企業や5つ星ホテル、世界有数のレストラン向けの日本酒コンサルタント、日本酒教育、世界市場向けのトレーサビリティーのあるマイナス5℃の日本酒輸出システムの開発などに携わり活動中。
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