連載第1回 違いがわかる有名銘柄飲み比べ

洗練を極めたキレのある味わいを生み出す”磯自慢酒造”13本を飲み比べてみた

更新日2021.09.03

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同じ蔵で醸されながらも、仕込みの違いで味や香りが何通りも生まれるのが日本酒の面白いところ。味わいの違いやそのお酒をより楽しむためのお料理を紹介します。

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静岡県焼津市に1830年から蔵を構える磯自慢酒造。南アルプスからの名水に加え、静岡酵母を含む自社保存酵母、麹も完全手作りと伝統を守りながらも、1970年代には酒米の最高峰・東条産特A山田錦を使っていち早く吟醸酒を中心にした造りへ。さらにオールステンレスの無菌蔵という画期的な設備も整えるなど、何歩も先を行く革新的な蔵なのだ。 他にはないクリーンでキレのある味わいといわれる磯自慢。清々しい美しさの中に潜む味わいの違いを飲み比べてみた。

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1. 磯自慢 中取り純米大吟醸 35 Adagio

穀物感と果実感が共存しているような熟成した香り。穀物でも、古酒のような香りではなく煎ったような芳ばしい香りが上品な印象。このお酒ならではの芳醇な風味をいかして食材重視のシンプルなモダンチャイニーズと合わせると面白そう。鴨など赤身の肉、あん肝、煮穴子、栗など秋から冬の食材がおすすめ。

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2. 磯自慢 中取り純米大吟醸 35

日本酒のキレのある味わいの中に、小さく凝縮された甘みがある。飲むと一口目はドライだが、アフターにおいしい甘みが残る。単独でこのお酒そのものの味を堪能したい。料理を合わせるなら、お酒自体の味を壊さないよう鱧出汁の土瓶蒸しなど、シンプルかつ上品で滋味深い旨みを感じる料理が◎。

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3. 磯自慢 秘蔵寒造り 純米大吟醸40 秋津 古家AAA

香り穏やかだが、舌の上に甘みを感じ、その余韻が長い。柑橘類やパッションフルーツなどやや酸味を伴ったフルーツやデザートなどと合わせると、甘みとのバランスが心地良い。

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4. 磯自慢 秘蔵寒造り 純米大吟醸40 秋津 常田 AAA

甘みに頼らない米の旨味が出ていているが、線がしっかりしていてボディも締まっているためドライな切れ上がり。飲み終わった後の締りのある苦味が心地よい。酸味が強くないので、濃い味付けや油っこい料理よりも、素材本来の味わいを楽しめる上等な刺身を本わさびで。

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5. 磯自慢 大吟醸 愛山

白桃のようなふっくらとした香りだが、口に含むと香りほど甘味は強くない。膨らみはあるものの甘みが出過ぎた感じではなく、締まっていた味が徐々に膨らんでいくイメージ。軽く炙った帆立貝、また帆立貝と桃にピンクペッパーを振ったサラダなど上品なフレンチの前菜と。海老や蟹料理とも相性良し。

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6. 磯自慢 大吟醸

岩清水やラムネのような澄んだ清涼感と香りの後にふわっとやわらかい綿あめのような甘みが出てくる。若干の苦味もあり、ミネラル感との相乗効果が感じられ、夏のお料理と合うイメージ。トマト、ナス、万願寺唐辛子など夏野菜の焼き浸しや冷やしおでん、あるいは冷奴、湯葉を塩だけで。

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7. 磯自慢 大吟醸純米 東条山田錦 エメラルド

しっかりとした芯を感じる味わい。「純米大吟醸」ではなく「大吟醸純米」という名前の通り上質な純米酒のよう。天ぷらのコースを通しで飲んでも飽きがこないどころか、ネタや衣のコクを受け止め、引き上げながらお酒自体も美味しく飲める。人肌からぬる燗程度に温めて変化を楽しむのもおすすめ。

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8. 磯自慢 中取り純米大吟醸 愛山

爽快なハーブのような爽やかな香り。果汁をそのまま口に絞ったようなフレッシュ感。お酒のきめ細かさが感じられ、旨みと甘みが一体化して液体に完全にとけこんだ「おいしい甘み」。トロッとしたテクスチャーに合わせてボタンエビや白エビ、紫雲丹をそのままで。良質のバターで作るプレーンオムレツなど柔らかでクリーミーな味にも寄り添う。

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9. 磯自慢 雄町特別純米 53

果実感よりも米感のある香りと味。旨みは強く、甘みと旨みが手を繋いでいる出汁のような味わい。それでいて最後はキレよく軽快な印象に。旨口なので、魚介料理のなかでもしっかり味が出ている海鮮あんかけ焼きそば、アクアパッツァなどと合わせると互いを引き立て合う。

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10. 磯自慢 純米吟醸

やや辛口ながらスルスルと飲める軽快な飲み口。ワイングラスだとさらに飲みやすく、日本酒初心者にもお薦めしたい。ジンのような森林系の香りに癒される。軽いオイルで和えたサラダ、茗荷や大葉など香味野菜と好相性。金目鯛のしゃぶしゃぶ、ふぐ料理などさっぱりとしたお料理全般に。濃い味はNG。

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11. 磯自慢 吟醸

清々しい香りで夏向けの1本。やや冷やし気味で、たとえば新鮮なきゅうり、水茄子など夏野菜をそのままかじりながら飲みたい。また、枝豆など緑系の野菜の冷菜もあいやすい。また、冬瓜の温スープと冷酒の温度差で合わせると、心地よい飲み心地を楽しめる。

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12. 磯自慢 特別本醸造

ミネラル感たっぷりで水の良さを感じる香り。米の味はしっかり表現されているものの、喉ごしが綺麗でさっと味が消えるので、飲み続けたくなる味わい。穏やかな味なので、どんな食材、調理法でもオールマイティに合わせやすい。あえていうなら白身魚、鶏肉、塩ベースが良し。

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13. 磯自慢 別選本醸造

クリーミーながらも爽やかな香りが舌の上で広がっているような印象。コクはあるが、飲み口は軽快。ふくよかなので、少し温めて飲んでも美味しい。白子、ポテトサラダ、甘鯛のかぶら蒸し、焼きねぎなど、居酒屋やおでん屋、割烹料理店まで多様な料理にお薦めできる。

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まとめ1

水の美しさが存分にいかされ、酸味は少ないのに洗練を極めたキレのある味わい、というのが磯自慢の全体的な特徴といえる。そして、味わいの要素を必要最低限にしているという潔さこそがその洗練の理由。 雑味が一切ない美しい艶感や旨み、奥行きを生み出しているのだ。少ない要素の中で個性を出すには、研究に研究を重ねながら丁寧な手作業と徹底した温度管理など高度な技術を積み上げていくしかない。 こうして日々進化し、磨きあげられていく磯自慢のお酒。美しさのバリエーションが楽しめるのが何よりの魅力だ。また、味とボトルのイメージもぴったり。ここまでこだわっているのは、ボトルを前に1本通して飲んで欲しいという思いかもしれない。 贈り物としても喜ばれること間違いない磯自慢。繊細なお酒だけに、保存温度、飲む温度にもこだわり、その真価を堪能したい。

テイスティングコメント:多田正樹 文章:藤田実子 写真:JCSC・磯自慢酒造 【多田正樹プロフィール】 1969年 島根県松江市生まれ 1990年 都内フランス料理店を中心に接客を担当 2000年 新宿京王プラザホテル ・日本酒バー【天乃川】、和食、懐石料理店舗にて日本酒選定・サービス ・ホテル独自の日本酒開発 2011年 神楽坂【ふしきの】酒番 2014年 神楽坂【月よみ庵】店長兼酒番 2017年  神楽坂【蒼穹】店主 現在 【ブレス合同会社】 『和酒を扱う料理店のご相談係』 『日本酒テイスター』 『佳酒と古陶磁 出張人』として料理人さん、古美術商さんと共に活動中
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